株式などの譲渡所得の計算の仕方

株式等を譲渡した場合、譲渡所得はいかにして算出すればいいですか?

株式等を譲渡した場合、譲渡所得は、譲渡価額から取得費や売却手数料等を差し引いて算出します。

 取得費というのは、株式等の取得時に支払った払込代金や購入代金のことですが、購入手数料(購入手数料に係る消費税も含まれます)や、購入時の名義書換料等も取得費に該当します。

 そして、払込や購入以外によって株式等を取得した場合に関して、主な取得原因や取得費は次の通りであるといえます。
1.相続(限定承認は除外されます)、遺贈(限定承認は除外されます)又は贈与によって取得した株式等
被相続人、遺贈者又は贈与者の取得費を引き継ぐこととなります。
2.発行法人から与えられた次の権利を行使することで取得した株式等(税制適格ストックオプションを行使することで取得した特定権利行使株式は除外されます)
(1)平成13年法律第79号による改正前の商法に規定のある株式譲渡請求権
その権利の行使日における価額
(2)平成13年法律第128号による改正前の商法に規定のある新株の引受権
その権利の行使日における価額
(3)改正前の商法に規定のある新株予約権
その権利の行使日における価額
(4)会社法第238条第2項の決議等を基に交付された新株予約権(新株予約権を引き受ける人に特に有利な条件・金額であるとされるもの又は役務の提供による対価であるとされるものに限定されます)
 その権利の行使日における価額
(5)株式と引き換えに払い込むべき金額が有利である場合におけるその株式を取得する権利(上記(1)から(4)までに合致するものは除外されます)
 その権利を基にした払込又は給付の期日における価額
3.発行法人の株主等として与えられた新たな払込や給付を必要としないで取得した株式(同一種類の株式を株主割当てで取得して取得費を調整する場合は除外されます)又は新株予約権
 ゼロ
4.上記1から3まで以外の方法によって取得した株式
その取得時におけるその株式等の取得のために通常必要とされる価額

 ちなみに、取得費は、株式等を取得するのに要した1単位当たりの価額に株数等を乗じて算出しますが、この1単位当たりの価額を調整する場合があります。主に、次のことが生じたとき又はそのことによる株式等の取得がなされたときに、調整を行います。
・株式等の分割又は併合が行われたとき
・同一種類の株式を株主割当てによって取得したとき
・課税の繰延べが認められる合併によって合併法人の株式等を取得したとき
・課税の繰延べが認められる分割型分割によって分割承継法人の株式等を取得したとき
・課税の繰延べが認められる株式交換又は株式移転によって株式交換完全親法人又は株式移転完全親法人の株式等を取得したとき

 また、同一銘柄の株式等を2度以上にわたって購入し、その株式等の一部を譲渡した場合、取得費は、総平均法に準ずる方法によって計算した1単位当たりの価額を基に算出することとなります。

 相続した株式等を譲渡したこと等によって、もし取得費が分からないのであれば、同一銘柄の株式等ごとに、売却代金の5%に相当する額を取得費とすることも認められています。ほかに、実際の取得費が売却代金の5%相当額より少ないときも、売却代金の5%相当額を取得費とすることが可能です。
 例えば、ある銘柄の株式等を500万円で譲渡し、取得費が分からないというときには、売却代金の5%に相当する25万円を取得費とすることができるということになります。

取引相場がない株式を評価する方法

取引相場のない株式に該当するのはいかなる株式であるのかを教えてください。

取引相場のない株式に該当するのは、次のような株式以外の株式です。
1.上場株式
2.登録銘柄
3.店頭管理銘柄
4.公開途上にある株式

 なお、取引相場のない株式の評価に関しては、相続や贈与等で株式を取得した株主が、株式を発行した会社の経営支配力を持つ同族株主である場合には原則的評価方式で、同族株主以外の株主等である場合には特例的な評価方式である配当還元方式で、評価することとなります。

総合課税の対象に入る株式等の譲渡所得

株式等の譲渡による所得は、総合課税の対象となるのでしょうか?

株式等の譲渡による所得は、総合課税ではなく、申告分離課税の対象となります。
 ただ、特定口座制度(金融商品取引業者等が年間の譲渡損益の計算を行う制度)があり、特定口座を開設すると、この口座での取引につき源泉徴収口座か簡易申告口座を選択できます。源泉徴収口座を選択すれば、この口座内の年間取引の譲渡損益や配当等に関して、原則として確定申告をする必要はありませんが、他の口座における譲渡損益との損益通算をする場合、配当所得との損益通算をする場合、上場株式等に係る譲渡損失を繰越控除する特例の適用を受ける場合には、確定申告の必要があります。

株式などの譲渡損失の損益算入について

上場株式等を金融商品取引業者等を通じて売ったこと等によって発生した損失は、その年分の上場株式等に係る配当所得と損益通算ができるとのことですが、配当所得につき総合課税を選択した年分に関してもこの損益通算ができますか?

上場株式等を金融商品取引業者等を通じて売ったこと等で発生した損失は、平成21年分以降、確定申告を行うことで、その年分の上場株式等に係る配当所得と損益通算ができます。ただし、この損益通算ができる配当所得については申告分離課税の適用を選択した場合に限られ、総合課税の適用を選択した年分に関しては損益通算ができません。

 ちなみに、損益通算をしても控除しきれない損失額は、翌年より3年間にわたって、確定申告を行うことで、株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得の金額から繰越控除をすることができます。

配当所得の定義

配当所得というのはいかなるもののことなのかを教えてください。

配当所得というのは、株主や出資者が法人から受ける配当、投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配といったものに係る所得のことであるといえます。

 そして、配当所得の金額は、次の通り算出します。
収入金額(源泉徴収がなされる前の金額)-株式等元本の取得に要した借入金利息=配当所得の金額
 ちなみに、配当所得については、配当等の支払いに際して、株式等の区分に応じ、所得税等の源泉徴収等が行われ、源泉徴収された所得税は、原則として、その年分の納付すべき所得税額を計算するに当たって差し引きます。
 また、配当所得については、原則として確定申告を行う必要がありますが、確定申告不要制度を利用することもできます。そして、上場株式等の配当所得で平成21年1月1日以後に支払いを受けるべきものについては、総合課税に代えて、申告分離課税により確定申告することもできます。ただ、総合課税によるか申告分離課税によるかの選択は、確定申告する上場株式等の配当所得の全額について行う必要があります。