連結グループに加入に伴うみなし事業年度には、特例が設けられていますか?

税務署長に特例適用の書類を提出することで、連結子法人のみなし事業年度は、加入日の前日の属する事業年度開始の日から加入日の前日の属する月次決算期間の末日までの期間及び末日の翌日から連結親法人の事業年度終了の日までの期間とされます。そして、月の途中で納税のための決算を行うことによる事務負担を回避することができます。

他の内国法人が、連結事業年度の途中で連結親法人との間に連結親法人による完全支配関係を有することとなったときには、他の内国法人は完全支配関係を有することとなった日(加入日)に連結納税の承認があったとみなされ、加入日より連結子法人としての適用を受けることになっています(法人税法第4条の3第10項)。このとき、加入日の前日の属する事業年度開始の日から加入日の前日までの期間及び加入日から連結親法人の事業年度終了の日までの期間を各事業年度とみなし、前者について単体申告をし、後者について連結申告をします(法人税法第14条第1項第6号)。
しかし、もし月の途中で完全支配関係が生じたら、その発生日の前日までの期間がみなし事業年度となるために、本来の決算や月次決算とは別に、月の途中で納税のために決算を行わなければならず、事務負担が多大なものになります。このような事態を防ぐため、みなし事業年度の特例があります。税務署長に特例適用の書類を提出することで、連結子法人のみなし事業年度は、加入日の前日の属する事業年度開始の日から加入日の前日の属する月次決算期間の末日までの期間及び末日の翌日から連結親法人の事業年度終了の日までの期間となるのです(法人税法第14条第2項第1項)。
上記特例については、連結子法人が、上記特例の適用がないものとした場合に加入日の前日の属する事業年度に係る確定申告書の提出期限となる日までに、上記特例の適用を受ける旨及び次の事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出することによって、適用を受けることができますので、留意が必要であるといえます(法人税法第14条第2項、同法施行規則第8条の3の12)。
1.この書類の提出をする他の内国法人の名称及び納税地並びに代表者の氏名
2.1の他の内国法人に係る連結親法人又は設立事業年度等の承認申請特例の適用を受けて連結納税の承認申請書を提出した内国法人の名称及び納税地並びに代表者の氏名
3.1の他の内国法人加入日
4.1の他の内国法人の加入日前日の属する月次決算期間の初日及び末日
5.その他参考となるべき事項

連結納税開始に伴い、資産の時価評価を行わなければなりませんか?

連結子法人は、連結納税を開始する事業年度の直前事業年度において、一定の資産の時価評価を行わなければならず、評価益が発生するときには課税されます。所得通算によるメリットを時価評価課税によるデメリットが上回るケースもありますので、連結納税制度導入を考えるのであれば、所得通算の節税効果のほかに、時価評価対象資産の有無及び評価損益の影響も慎重についても検討を行うことが大切だといえます。

連結子法人は、連結納税開始又は加入に伴う単体納税制度から連結納税度への移行に際して、単体納税時の含み益を連結納税制度に持ち込むことには制限があり、移行時に資産の含み損益の清算を行わなければなりません。連結子法人は、連結納税を開始する事業年度の直前事業年度において、一定の資産の時価評価を行わなければならず、評価益が発生するときには課税されます。特に多額の含み益がある土地や有価証券を所有しているなら、所得通算によるメリットを時価評価課税によるデメリットが上回るケースもあります。
そのため、連結納税制度導入を考えるのであれば、所得通算の節税効果のほかに、時価評価対象資産の有無及び評価損益の影響も慎重についても検討を行うことが大切だといえます。なお、連結親法人が有する資産は、時価評価の対象とはなりません。
また、連結子法人が連結納税の開始又は加入に伴って時価評価すべき資産として、固定資産、土地(土地の上に存する権利を含み、固定資産に該当するものを除きます)、有価証券、金銭債権及び繰延資産があり、除外されるのは次のもの等です(法人税法施行令第122条の12第1項)。
・前5年内事業年度等において一定の圧縮記帳の規定適用を受けた減価償却資産
・売買目的有価証券
・償還有価証券
・資産の価額とその帳簿価額との差額(含み損益)が他法人の資本金等の額の1/2に相当する金額又は1,000万円のいずれか少ない金額に満たない場合のその資産

連結グループからの離脱事由となるものを教えてください。

平成22年度税制改正において、清算所得課税が廃止されたことに伴って、連結子法人の解散(合併又は破産手続き開始の決定を除きます)は、連結グループからの離脱事由とならないこととされました。そのため、連結子法人が合併又は破産手続き開始決定以外の事由で解散したのであれば、連結グループからの離脱はなく、連結納税の適用対象となります。後に、残余財産が確定した日の翌日に連結納税の承認が取り消されたものとみなされますから、そのときに連結グループから離脱します。
連結子法人が連結グループから離脱するケースとして、国税庁長官の職権により連結納税の承認が取り消される場合(法人税法第4条の5第1項)及び連結納税の承認が取り消されたとみなされる場合(法人税法第4条の5第2項)が存在します。

1.国税庁長官の職権により連結納税の承認が取り消される場合
 国税庁長官は、連結法人について次のような事実があるときに、連結納税の承認を取り消すことができます。
・連結事業年度に係る帳簿書類の備え付け、記録又は保存が財務省令で定めるところに従って行われていないこと。
・連結事業年度に係る帳簿書類について国税庁長官、国税局長又は税務署長の指示に従わなかったこと。
・連結事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し又は記録し、その他その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること。

2.連結納税の承認が取り消されたとみなされる場合
 次のような事実が発生したときに、連結子法人の連結納税の承認が取り消されたものとみなされます。
・連結親法人と法人(普通法人又は協同組合等に限ります)との間に当該法人による完全支配関係が生じたこと。
・連結子法人がなくなったことにより、連結法人が連結親法人のみとなったこと。
・連結子法人の解散(合併又は破産手続き開始の決定による解散に限ります)又は残余財産の確定。
・連結子法人が連結親法人との間に当該連結親法人による連結完全支配関係を有しなくなったこと。
・連結親法人が公益法人等に該当することとなったこと。
・連結親法人と法人(公益法人等に限ります)との間に当該法人による完全支配関係がある場合において、当該法人が普通法人又は協同組合等に該当することとなったこと。

連結納税制度において、投資簿価修正は、どのように行うこととなりますか?

連結子法人株式の帳簿価額の修正と連結個別利益積立金額の調整をすることとなります。

連結納税制度において、連結子会社の株式の譲渡や連結子法人の連結納税グループからの離脱等に際して、その連結子法人の株式を保有する全ての連結法人が、その譲渡等の処理の前に、その連結子法人の株式についてその連結子法人の連結期間中の連結個別利益積立金額の増減額に相当する金額の帳簿価額の修正をすると共に、自己の連結個別利益積立金額又は利益積立金額についてその修正金額に相当する金額の増減の調整をすることとなり、これを投資簿価修正といいます(法人税法施行令第9条第1項第6号・第9条の2第1項第4号・第119条の3第5項・第119条の4第1項)。
投資簿価修正額=連結子法人が連結納税に加入したときから当該修正事由が生じる前までの利益積立金の増減× 保有連結子法人株式数/連結子法人の発行済株式数
連結子法人株式の譲渡等のときに生じる損益は、その連結子法人の損益で連結納税において既に課税済みであるものの影響を受けていますので、二重課税又は二重控除を防止するためには、連結子法人株式の譲渡等を行うに当たって、その株式の帳簿価額を修正しなければならないというわけです。

連結納税制度において、地方税の取り扱いは、どのようなものですか?

連結法人の都道府県民税・市町村民税・事業税等の地方税については、各々の連結法人が納税義務者として申告する必要があります。課税標準は、住民税の法人税割については「個別帰属法人税額」であり、事業税については「連結所得個別帰属額」です。

法人税法上の制度である連結納税制度は、地方税(住民税・事業税)については適用がありません。ゆえに、地方税については単体納税が継続しますので、繰越欠損金を活用することでの節税効果は、地方税には影響がないということになります。連結子法人において連結親法人の繰越欠損金額の活用によって法人税額が発生しないというときも、地方税額が発生することとなります。
そのため、連結親法人の繰越欠損金の所得通算効果を検討するときには、地方税額の発生を考慮に入れることが重要です。
連結納税制度において、地方税の取り扱いは、次のようなものです。
連結法人の都道府県民税・市町村民税・事業税等の地方税については、各々の連結法人が納税義務者として申告する必要があります。
単体納税における課税標準は、住民税の法人税割については法人税額であり、事業税については法人税法上の所得金額ですが、連結納税制度における課税標準は、前者については「個別帰属法人税額」(個別所得金額に法人税率等を乗じ、所得税額控除等の連結法人帰属額を調整したもの)であり、後者については「連結所得個別帰属額」(個別帰属益金額から個別帰属損金額を控除したもの)です。
連結納税制度における法人税では連結所得金額から連結子法人の連結納税適用前に生じた繰越欠損金を控除することは一定の場合を除いて不可能ですが、地方税においては個別帰属損金額として各連結法人の所得から控除することができます。
そして、連結納税の適用を受けた場合の地方税の事業年度は、連結事業年度と同一になります。

「中小法人向け特例」の適用対象となるか否か判定できますか?

連結納税制度を導入した場合に、「中小法人向け特例」の適用対象となるか否かについて、連結親法人の事業年度末における資本金額で判定するのが原則といえます。

事業年度末における資本金が1億円以下の法人を中小法人と呼び、次に掲げる特例がいわゆる中小法人向け特例です。
1.年800万円以下の所得に対する税率
 15%の軽減税率が適用されます(原則は25.5%。法人税法第66条第2項・第81条の12第2項等)。
2.留保金課税の不適用
 一定の同族会社の一定の内部留保金額に係る課税金額が免除となります(法人税法第67条・第81条の13)。
3.貸倒引当金の法定繰入率
 税務上の貸倒引当金計上限度額を法定繰入率により計算することが可能です(原則は貸倒実績率。租税特別措置法第57条の10・第68条の59)。
4.交際費等の損金不算入の定額控除
 交際費のうち、一定額の損金算入ができます(原則は全額課税。租税特別措置法第61条の4・第68条の66)。
5.欠損金の繰戻し還付
 当期の欠損金額を前期の所得金額と通算することにより、前期法人税額のうち一定額の還付を受けることが可能です(法人税法第80条第1項・第81条の31等)。
 単体納税では、各法人の事業年度末における資本金額でこれらの特例の適用対象となるか否かを判定します。連結納税では、連結親法人の事業年度末における資本金額で判定するのが原則です(貸倒引当金の法定繰入率に限り連結子法人の資本金は1億円以下とする要件があります)。
 そして、平成22年度税制改正により、100%グループ内法人の子法人について、親法人の資本金額が5億円以上である場合には、これらの特例の適用対象とならなくなりました。

どのような法人が連結納税の適用対象となるのでしょうか?

内国法人である親法人(普通法人又は協同組合等に限ります)と、その親法人が直接又は間接に発行済株式等の全部を保有する全ての子法人(普通法人に限ります)が、連結納税の適用対象となります。ただし、連結納税制度を選択するのなら、完全支配関係にある全ての子法人がこの制度の適用対象となり、これらの子法人のうちの一部のみを適用対象とすることは不可能となりますから注意しましょう。

1.連結親法人
 普通法人又は協同組合等のうち、次の法人を除いたものに限って、連結親法人になることができます。
・破産手続き開始の決定を受けた法人
・外国法人
・他の内国法人又は協同組合等による完全支配関係がある法人
・資産流動化法に規定する特定目的会社
・投資信託及び投資法人に関する法律に規定する投資法人
・連結納税の承認が取り消された法人で、取り消しから5年を経過していない法人

2.連結子法人
 連結親法人により発行済株式等の全部を直接又は間接に保有される普通法人のうち、次の法人を除いたものに限って、連結子法人になることができます。
・破産手続き開始の決定を受けた法人
・外国法人
・資産流動化法に規定する特定目的会社
・投資信託及び投資法人に関する法律に規定する投資法人
・連結納税の承認が取り消された法人で、取り消しから5年を経過していない法人

株式100%保有の判定について留意することはありますか?

一の者が法人の発行済株式等(発行済株式の総数のうちに次に掲げる株式の数を合計した数の占める割合が百分の五に満たない場合の当該株式を除きます)の全部を保有する場合における当該一の者と当該法人との間の関係を完全支配関係といいます。
・当該法人の使用人が組合員となっている民法に規定する組合契約による組合(組合員となる者が当該使用人に限られているものに限ります)の当該主たる目的に従って取得された当該法人の株式
・会社法の決議により当該法人の役員又は使用人に付与された新株予約権の行使によって取得された当該法人の株式

合併のうち、被合併法人の株主等に合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式又は出資以外の資産が交付されないもので、その合併に係る被合併法人と合併法人との間のいずれか一方の法人による完全支配関係その他政令で定める関係があるものは、適格合併となります(法人税法第2条第12号の8)。
また、一の者が法人の発行済株式等(発行済株式の総数のうちに次に掲げる株式の数を合計した数の占める割合が百分の五に満たない場合の当該株式を除きます)の全部を保有する場合における当該一の者と当該法人との間の関係を完全支配関係というと定められています(法人税法第2条第12号の7の6、同法施行令第4条の2第2項)。
・当該法人の使用人が組合員となっている民法に規定する組合契約による組合(組合員となる者が当該使用人に限られているものに限ります)の当該主たる目的に従って取得された当該法人の株式
・会社法の決議により当該法人の役員又は使用人に付与された新株予約権の行使によって取得された当該法人の株式
 合併における適格要件は、次のようにまとめられます。
1.完全支配関係(100%保有関係)
・金銭等の交付がないこと。
2.支配関係(50%超100%未満の保有関係)
・金銭等の交付がないことのほか、従業員引き継ぎ要件、事業継続要件が課されています。
3.共同事業を営むための合併
・金銭等の交付がないことのほか、従業員引き継ぎ要件、事業継続要件、事業関連性要件、規模要件又は経営参画要件、株式継続保有要件が課されています。

無対価株式交換が適格株式交換に当たることはあるのでしょうか?

次のときに限り、無対価株式交換、つまり株式交換完全子法人の株主に株式交換完全親法人の株式その他の資産が交付されない株式交換が適格株式交換に当たるとされています。

1.完全支配関係がある法人間で行われる株式交換
株式交換前に株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に同一の者による完全支配関係がある場合において、次の関係があるときに限って、無対価株式交換が適格株式交換に当たります。
イ.一の者が株式交換完全子法人及び株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ロ.株式交換完全親法人及びその株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を保有する者が株式交換
完全子法人の発行済株式等の全部を保有する関係

2. 支配関係がある法人間で行われる株式交換
(1)株式交換前に株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間にいずれか一方の法人による支配関係がある場合
  上記1のロに該当するときに限って、無対価株式交換が適格株式交換に当たります。
 
(2)株式交換前に株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に同一の者による支配関係がある場合
  上記1のイ・ロに該当するときに限って、無対価株式交換が適格株式交換に当たります。

3.株式交換完全子法人と株式交換完全親法人が共同で事業を営むための株式交換
 上記1のロに該当するときに限って、無対価株式交換が適格株式交換に当たります。

無対価分割が適格分割に当たることはあるでしょうか?

無対価分割、つまり分割法人に分割承継法人等の株式その他の資産が交付されない分割において、、分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合又は分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合の分割を「分割型分割」と呼び、分割の直前において、分割法人が分割承継法人の株式を保有している場合(分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合を除きます)の分割を「分社型分割」と呼びます。以下のときに限り、無対価分割が適格分割に当たることになります。

1.完全支配関係がある法人間で行われる分割
 (1)分割前に分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係がある場合
  次の関係があるときに限って、適格分割に当たることになります。
 イ.分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有する関係
 ロ.分割法人が分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係
 
(2)分割前に分割法人と分割承継法人との間に同一の者による完全支配関係がある場合
 分割型分割にあっては次のハ~ホの関係があるときに限って、分社型分割にあっては次のヘの関係があるときに限って、適格分割に当たることになります。
ハ.分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ニ.一の者が分割法人及び分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ホ.分割承継法人及びその分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する者が分割法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ヘ.分割法人が分割承継法人の発行済株式等の全部を保有する関係

2. 支配関係がある法人間で行われる分割
 (1)分割前に分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による支配関係がある場合
  上記1のハ・ホ・ヘの関係があるときに限って、適格分割に当たることになります。
 
(2)分割前に分割法人と分割承継法人との間に同一の者による支配関係がある場合
  分割型分割にあっては上記1のハ~ホの関係があるときに限って、分社型分割にあっては上記1のヘの関係があるときに限って、適格分割に当たることになります。

3.分割法人と分割承継法人が共同で事業を営むための分割
 分割型分割にあっては上記1のハ・ホの関係があるときに限って、適格分割に当たることになります。